これは、本当によく質問されることです。
かつて十数年前、私も、料理教室も先生など何人かの方に質問したことがあります。
私は、小学校の家庭科食物で、肉や魚、卵などが
「血や肉を作る食べ物」と西洋の栄養学に基づいた知識を教わったのでその発想で質問したのです。
私は食生活を変えた十数年前、当時は動物性のものは食べなかったのですが、
実はヴィーガンというわけではなく、
マクロビオティックという食事法を実践していたため、
体を健康的な方向に整えるために動物性のものを食べなかったのです。
先生方から帰ってきた答えは、
「コーフー」など食物成分上、やはりタンパク質の多い食べ物だったりしたわけです。
ちなみに「コーフー」は小麦グルテンから作られたもの。
生麩に近い感じの弾力のある食べ物です。
これはまだ、今のように小麦のグルテンが体に与える影響をあまり問題視していなかった時代の話。
それでも、この小麦グルテンは消化が良くないのと、小麦が腸を痛めることはわかっていたので
血や肉を作るためにコーフーを積極的に食べるのことは、なんだか違うような気がしていました。
小麦グルテンじゃないなら、大豆や大豆製品、とも容易に想像がつくのですが、
だからと言って「主菜(メインのおかず)」を毎食大豆や大豆製品のもの、というもの
なんだかそれも違うような気がしていました。
結局、答えがわからないまま、年月が経ちました。
ここで、質問の答えなのですが、
『正直、何が正解かはわかりません。』
というのが一応の私の答えです。
ではあるのですが、
ここ十数年、自分の体を常に実験台にしてきた私が導き出した一つの考えが
あります。
こうも意識して「タンパク質」「タンパク質」といって
「『タンパク質を取らなけれなならない』という考えが
そもそも、間違っているのではないか」
ということです。
「タンパク質」は西洋の栄養学で言われてきた概念です。
私が小学生の頃は、六大栄養素の一つとして
血や肉を作るものとして「タンパク質」と言われていました。
(今も同じのようです)
しかし、私の友人、知人の中には、生まれた時から動物性のものを
食べない菜食の人たちがいます。
彼らは、「タンパク質を摂ろう」という意識なく食生活を送られているように
感じます(私の目には)
彼らは、親、もしくは祖父母の代から植物性のものだけ食べてきて、
植物性だけで体ができています。
彼らはある程度自分で食べ物を選んで食べれる年になった時に、
友達と同じようにちょっと肉食をしてみることがあったそうです。
普段食べていないので、体調が悪くなるそうです。
食べた翌日は、獣のように髪の毛がバリバリに逆立つそうです。
彼らは、食べた植物性の物から、血や肉を作っていることになります。
近年、特にタンパク質を取ることが重視されているようですが、
本当にそんなにタンパク質をとらなければいけないなら、
彼らはとても虚弱な体質なはずです。
しかし生まれながらの彼らは、特別痩せすぎていたり、虚弱な体質ではなく、
活き活きと健康そうに見えます。
タンパク質を食べなければ、肉体が作られないのだとすると、
草原の草しか食べない鹿やインパラなど草食動物はどうやって体を作っているのでしょう?
あの大きなゾウやキリンも草食動物ですね。
植物性と言っても大豆などを食べているわけではありません。
乾いた草原の草や干草を食べているのです。
この件でネット検索すると、草に含まれるごくわずかなタンパク質を、
草を大量に食べて補っているとする記事もあります。
しかし、生まれながらの菜食者たちが、野菜を大量に食べているのを私は見たことがありません。
これを説明できる一つの仮説があります。
『原子転換』です。
「生物の内部で特定の元素が、別の元素に転換する」というものです。
しかし、『原子転換』は昔から論争があって、
化学的には証明できないものだとされています。
私は科学者でも研究者でもないので、
「草を食べた後、体内で『原子転換』が起こって、
草食動物の血や肉を作った、とはとても言えません。」
ですが、私が見てきたものを素直に捉えるならば、
「特にタンパク質が多いものとは限らず植物性のものを食べて
それで体を作り、生きている人たちがいる。
そして彼らは、そのことを起因として不健康でも虚弱でもない。」
ということは紛れもない事実です。
ですから、近年の「タンパク質信仰」はちょっと度を越しているように感じます。
ただ、長寿であるためには、ある程度、良質のタンパク質が必要であることも
否定はできません。
しかし、だからと言って、肉や魚をたくさん食べていると、
一方で消化しきれなかったものが、臓器に溜まっていき、
他の重篤な病気につながる可能性もあり、注意が必要です。
また、生まれながらの菜食者を取り上げましたが、
人生の途中から菜食になられた方は、注意が必要だと
私の経験上、思います。
小さい頃からある年齢まで、動物性のものを食べていた人は、
体を作ってきたのは動物の食べ物です。
血や肉を動物の食べ物で作るよう体の仕組みが出来上がっているので
いきなり菜食になっても、体が対応してくれませんし、
簡単には順応しません。
無理に頭の理解で厳格に菜食を続けると、
体力を落としたり、筋力がなくなったり、
貧血やカルシウム不足に陥ったりする可能性があります。
常に、「今自分の体はどうなのかな?」と問いかけて
必要ならば、たまに動物性のものを慎重に口にしてみてはいかがでしょう?
ヴィーガンの方などはこれは受け入れ難いのかもしれませんが、
動物も生き物ですが、野菜や穀物など植物も生き物です。
生き物の命をありがたくいただいて体を維持していると
感謝して口にしてみてはいかがでしょう。
長くビーガンや菜食をされている方は、おそらく
植物性だけで体を維持する体になってきていると思うので
動物性のものは必要なくなっている方がほとんどだと思います。
知り合いの中には、二十歳の頃から20年以上ビーガンという方もいます。
その方は、ナチュラルに体の声に従ってこれは食べれるけど、これはちょっと無理かな、という感じで食べるものを選択されているようでした。
決して単なる知識や頭の理解や禁止事項などにとらわれていない印象を受けました。
この方も特段、植物性であってもタンパク質を摂ろうとされているようには見えませんでした。
冒頭の質問「植物性のものでタンパク質はどうやって取ればいいですか?」は、
結局のところ、明確な答えが見つかってはいません。
万人共通の答えもないのではないかと思います。
ただ、自然に沿った食べ方をしていると、心身の声に気づけて、
今何を食べたらいいのかを自分自身で導いてくれるのではないかと思ったりするのです。
答えになってなくてごめんなさい。